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更新日:2025.08.26

台風対策に効果的なリフォームとは?
費用相場や火災保険が適用されるケースも紹介

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台風対策に効果的なリフォームとは?費用相場や火災保険が適用されるケースも紹介

7月から10月にかけて多く発生する台風は、住宅に甚大な被害をもたらす自然災害の一つです。台風や大雨による家の被害を未然に防ぐためには、窓にシャッターを設置する、耐風性能の高い屋根材に交換するなどのリフォームが効果的です。台風対策のポイントを知ることで、雨漏りや窓の破損といったトラブルのリスクを軽減できるでしょう。
 
この記事では、台風で起こりがちな住宅トラブルや台風対策のチェックポイント、被害を未然に防ぐリフォーム方法などを紹介します。火災保険が適用されるケースについても解説しているため、自宅に台風対策を講じたいとお考えの方はぜひ参考にしてください。

台風や大雨で起こる可能性がある住宅トラブル

台風や大雨に見舞われると、普段では起こらないような住宅トラブルに悩まされる場合があります。ここでは、台風や大雨で起こる可能性がある3つの住宅トラブルを紹介します。
 

屋根の損傷

屋根で多いのが、瓦や棟板金などの屋根材が強風で飛ばされてしまう事例です。棟板金は屋根の頂点に設置される部材のことで、ほかの屋根材を固定したり、雨水の侵入を防いだりする役割を担います。
 
屋根材が風で飛ばされると、近隣の家や歩行者などに当たって被害をもたらしてしまう恐れがあります。また、屋根の損傷で本来の機能が損なわれ、雨漏りなどの二次被害につながることも考えられるでしょう。
 
強風などによる屋根の損傷を防ぐためには、10~15年スパンでの定期的なメンテナンスや修繕で強度を維持することがポイントです。
 

窓ガラスの破損

窓ガラスは強風だけで割れる可能性は低いものの、飛来物の直撃で割れてしまう場合があります。台風の際は看板やほかの家の屋根瓦、植木などが飛んできて窓が割れる恐れがあるため、注意が必要です。
 
また、窓まわりのシーリング(コーキング)が劣化している場合、雨水が室内に入ってくる被害も想定されます。雨戸やシャッターなどの設備がきちんと固定されていないと、強風によって飛ばされてしまう可能性もあるでしょう。
 

外壁の損傷

外壁については、強風で外壁の一部が壊れて飛んでいったり、シーリング(コーキング)がはがれたりするケースが考えられます。シーリング(コーキング)とは、建材の隙間を塞ぐために使う目地剤のことです。
 
台風で外壁が損傷すると、雨水が外壁内部に侵入して雨漏りにつながる恐れがあります。台風や大雨の際の被害を最小限に抑えるためにも、10〜15年程度のスパンでメンテナンスを施しましょう。

台風対策におけるチェックポイント

台風が発生したときには、大雨や強風の影響で家の劣化が進んでいる箇所から被害が広がる可能性があります。そのため、被害を未然に防ぎたいのなら、事前に台風対策を講じることが大切です。
 
ここでは、台風に備えてチェックしておきたいポイントを屋根・窓・外壁・雨樋別に解説します。
 

屋根

瓦などの屋根材は強風で飛ばされることが多いため、ずれや破損がないかを事前に確認しておきましょう。特に、経年劣化している屋根材は早めに交換や補強などの処置をする必要があります。
 
屋根の頂点にある棟板金も台風の被害を受けやすいため、固定具合や劣化の程度を確認しておくことが重要です。棟板金を固定する釘は、経年による劣化や熱膨張などによって築7~10年で抜けてくるといわれています。そのため、築10年前後で釘の状態を確かめておくのがおすすめです。
 
なお、自分で屋根に上って点検作業をするのは危険です。屋根の状態を確認する際には信頼できる業者に依頼し、問題がないかどうかを調べてもらうとよいでしょう。少し離れたところや小高いところに立ち、目視で屋根材のずれなどを確認するのも一つの方法です。
 

窓は強風の影響を受けやすいため、窓自体や雨戸、網戸といった設備のがたつきやゆるみがないか事前にチェックしておきましょう。
 
日除けのオーニングがある場合も固定具合を確かめ、取り外せるものは台風が来る前に外して室内に保管しておくことが大切です。窓まわりのシーリング(コーキング)の劣化も雨漏りにつながるため、新たに打ち替えるなどの対策を講じてください。
 

外壁

外壁で注意すべきなのが、防水機能の役割を果たす塗膜のはがれ、塗膜の膨張によるふくれ、ひび割れといった症状です。はがれやふくれは、外壁の塗装が劣化しているサインを示します。長期間放置すると台風による大雨で外壁内部に水が浸入してしまう恐れがあるため、早急な対策が必要です。
 
また、外壁に生じているひび割れも雨漏りの原因となり得ます。台風が来る前に家の周囲をまわってみて、外壁の状態をひととおり確認するのがおすすめです。
 
点検してみて外壁やシーリング(コーキング)などの劣化が目立つようなら、台風が来る前に修繕しておくとよいでしょう。
 

雨樋

雨樋は、屋根に降った雨水を地上や下水へ運ぶ役割を担います。つなぎ目が外れていたり、ひび割れが発生していたり、ゴミが溜まっていたりすると排水がうまくいかず、屋根や外壁などの破損部分から雨水が建物内に浸入し、雨漏りの原因となる恐れがあります。
 
そのため台風が来る前に、雨樋の状態に問題はないか、ゴミは溜まっていないかなどをチェックしておきましょう。また、雨樋は強風の影響で外れることがあるため、固定状態も確認しておきたいところです。

自分でできる台風対策

台風の被害に備えるためには入念な準備が必要ですが、自分ですぐに取り組めることもあります。ここでは、自分でもできる簡単な台風対策を紹介します。
 

窓ガラスの飛散を防ぐ

台風の際は、強い風圧や飛来物などによって窓ガラスが割れる危険性があります。そのため、万一窓ガラスが割れても飛散しないようにする対策が必要です。飛散対策を講じることで、窓ガラスの破片による二次被害を防げるでしょう。
 
窓ガラスの飛散防止対策として、まず養生テープをマークの形に貼ることが挙げられます。さらに窓枠のまわりにも養生テープを貼っておくことで、割れたガラスが枠内にとどまりやすくなります。
 
養生テープだけでは不安と感じる方は、割れた窓ガラスの飛散を防ぐ効果がより高い飛散防止フィルムの貼付を検討するとよいでしょう。飛散防止フィルムを貼るときのコツは、窓ガラスをきれいに拭いてから空気が入らないようにすることです。
 
なお、養生テープや飛散防止フィルムはあくまでも割れた窓ガラスの飛散を防ぐためのアイテムです。窓ガラスが割れることを防ぎたい場合は、シャッターの設置や強化ガラスへの交換などの対策を講じる必要があります。
 
そのほか、台風の際は窓が割れた場合に備えて、窓の近くに家電や大事なものを置かないようにすることが大切です。加えて窓にはしっかりと鍵をかけ、風が強いときはなるべく開閉しないようにしましょう。
 

飛ばされやすいものを片付ける

庭やベランダにものを出しっぱなしにしていると、台風が来たときに飛ばされてしまう恐れがあります。
 
それによって窓ガラスが割れたり、近隣の家に被害をもたらしたりすることがあるため、台風が来る前に鉢植えや子供のおもちゃなどを片付けておくことが大切です。
 
また、簡易的な倉庫やエアコンの室外機など、飛ばされる可能性があるものはしっかりと固定されているか確認しておきましょう。自転車も飛ばされる恐れがあるため、室内に入れるか、柱やフェンスなどにチェーンやロープでしっかりと固定しておく必要があります。
 

排水溝や雨樋を掃除する

排水溝や雨樋などに落ち葉やゴミが溜まっていると、排水能力が低下して大雨の際に浸水や雨漏りの原因となります。これらの排水設備は定期的に点検し、ゴミが溜まっていたら取り除くようにしましょう。
 
日頃から排水設備の状態を良好に保つことで、台風が来たときの被害拡大を未然に防げます。

台風被害を未然に防ぐためのリフォーム

家の設備に問題がある場合、自分でできる対策だけでは台風への備えは十分といえません。不安に感じる方は、屋根や外壁、窓などにリフォームを施して台風に備えることをおすすめします。
 
ここからは、台風被害を未然に防ぐためのリフォーム方法を紹介します。
 

屋根・外壁の補修・塗装

屋根や外壁は防水性や耐久性の高い塗装を行なうと水をはじくようになり、雨漏りによる被害を防ぎやすくなります。塗装が劣化している場合は防水性も低下しているため、メンテナンスを検討するとよいでしょう。
 
また、屋根材は防災瓦など軽量で強度の高いものにすることで、台風による被害を軽減しやすくなります。外壁は強風で損傷することが多いため、ひび割れや劣化部分の補修は優先的に行なってください。
 

窓シャッター・雨戸の後付け

台風発生時には、強風で飛ばされてきた植木鉢などが窓ガラスに当たって破損するケースが多い傾向にあります。台風による窓ガラスの破損を未然に防ぎたいのなら、窓へのシャッターや雨戸の設置が有効です。
 
例えば電動シャッターを設置すれば、台風が来たときにボタン一つで飛来物から窓を守れるので安心です。また、シャッターや雨戸は防音効果が高く、台風による激しい風や雨音が気になりにくくなるメリットもあります。
 
シャッターも雨戸も簡単に後付けできるため、台風対策を講じる際は検討するとよいでしょう。外出時などにシャッターや雨戸を閉めておけば、防犯対策としても有効です。
 
なお、雨戸を後付けする場合は窓の横に雨戸を収納する戸袋の設置スペースが必要です。
 

内窓の設置

内窓を設置すると、万が一窓が割れた際に窓ガラスの破片が室内に飛散するリスクを軽減できます。防音性や断熱性も向上するため、台風への備えだけでなく、日常生活をより快適にする手段としても有効です。
 
マンションの規約で窓のリフォームが禁じられている場合も、内窓の設置なら専有部分のリフォームとして許可を得られる可能性があります。室内から施工できるため、2階以上の窓に内窓を設置する場合でも足場を組む必要がなく、リフォーム費用を安く抑えられることも魅力の一つです。
 
強化ガラスなどを採用した内窓なら、より安全性を高められます。
 

窓ガラス・網戸の交換

窓ガラスを耐風性能が高く衝撃に強い強化ガラスや合わせガラスに変更すると、強風時の安全性を高められます。強化ガラスは通常のガラスに熱処理を施したもので、一般的なガラスの約3~5倍の耐風圧性能があるとされています。
 
また、割れたときに粉々になることも強化ガラスの特徴です。通常の窓ガラスのように尖った破片が生じないため、万が一割れてもケガをするリスクを抑えられます。
 
合わせガラスは2枚のガラスの間に樹脂を挟んだもので、「防犯合わせ複層ガラス」とも呼ばれます。耐貫通性が高く、車のフロントガラスに使われるほど安全性に優れている点が特徴です。
 
シャッターや雨戸を設置しにくい場合は、強化ガラスや合わせガラスへの交換を検討するとよいでしょう。
 
一方で、古いタイプや劣化している網戸は強風で飛ばされる恐れがあります。「外れ止め」という装置でしっかり固定される新しいタイプに交換することで、強風で網戸が飛ばされて近隣住宅などに被害を与えるリスクを抑えられます。
 

ベランダ・バルコニーの防水工事

ベランダやバルコニーの劣化が進んで防水性能が落ちていると、建物内部への雨漏りにつながる恐れがあります。そのため、表面の色褪せやひび割れなどの症状が見られる場合は、台風が来る前に防水工事を施しておくのが賢明です。
 
ベランダやバルコニーの床面は、下地に「素地調整」「防水層」「トップコート」を順に重ねて防水加工を施します。耐用年数は防水層が10~15年程度、トップコートが5年程度とされており、症状に応じて必要な防水工事の内容も変わってきます。
 
ベランダ・バルコニーの防水工事は、大きく分けて「FRP防水」「シート防水」「ウレタン防水」の3種類です。
 
FRP防水は耐水性や耐衝撃性に優れた「繊維強化プラスチック」を使用する方法です。軽量で建物に負担がかからない、工期が短いといったメリットがある一方で、紫外線に弱くひび割れしやすいデメリットがあります。
 
シート防水は既存の防水材の上から塩ビシートやゴムシートを接着する方法です。耐久性に優れていますが、複雑な形状のベランダなどには対応できません。
 
ウレタン防水はベランダ・バルコニーの表面にウレタン樹脂を塗る方法を指します。下地を問わず施工できる一方で、施工会社によって仕上がりの品質がばらつきやすい点がデメリットです。
 
ベランダ・バルコニーの防水工事を行なう際は、それぞれの特徴を知ったうえで自分の家に合った適切な方法を選ぶことが大切です。

台風対策のリフォーム費用相場

家に台風対策を施す際に必要なリフォームの費用相場は、以下のとおりです。

●屋根・外壁の補修・塗装     約100万~160万円(40坪の場合)
●シャッターの設置        約10万〜45万円/箇所
●雨戸の設置           約5万〜15万円/箇所
●内窓の設置           約8万〜15万円/箇所
●強化ガラスへの交換       約6万〜8万円/枚
●合わせガラスへの交換      約5万〜8万円/枚
●ベランダ・バルコニーの防水工事 約8,000~1万5,000円/平米

なお、窓にシャッターなどを後付けする場合、窓の位置によっては、足場を組む必要があります。

台風被害で火災保険が適用されるケース

火災保険は火災だけでなく、台風などの自然災害によって受けた被害も補償の対象となります。ただし、適用対象となるケースは保険会社や商品の種類、契約内容などによって異なるため、事前の確認が必要です。
 
台風の場合、以下に挙げるようなケースで火災保険が適用されます。
 

風災

台風によって窓ガラスやドアの破損、瓦の飛散などが起こった場合は火災保険の補償対象となります。風で飛ばされてきたものが自分の家に当たって被害を受けた場合も、同様に補償の対象です。
 
一般的に、風速20メートル以上になると風災が起こりやすくなるといわれています。風速20メートルは、風に向かって歩くことが難しいだけでなく、看板が飛ばされたり、車が揺れて通常どおり運転できなくなったりする程度の風の強さです。
 
風災で火災保険が適用されるかどうかを見極めたいときは、風速20メートルを一つの目安にするとよいでしょう。
 

水災

台風や大雨で洪水が起きて家が浸水したなどの場合にも火災保険が適用され、保険金が支払われることが多い傾向です。適用対象となる被害の一般的な目安は、地盤面から45cm以上の浸水、床上浸水、建物や家財の損傷率が30%以上などです。
 
なお、外壁の破損が台風ではなく経年劣化による場合、雨漏りなどが発生しても火災保険は適用されません。
 

落雷

台風で発生した雷が落ち、電化製品が壊れるなどの被害を受けた場合も火災保険の適用対象となります。補償対象となるのは、おもに冷蔵庫やテレビなどの家財です。落雷によるスマートフォンの故障などは保険の対象外とされる場合が多いので、押さえておきましょう。

火災保険でリフォームする際の注意点

火災保険を使ってリフォームする際は、補償対象とならないケースがある点に注意が必要です。家の破損が台風ではなく、経年劣化や初期不良、施工不良などが原因とみなされる場合、保険金は支払われません。
 
また、保険金の請求は原則として自身で行ないますが、事故発生から3年以内という時効がある点に気を付けてください。時効を過ぎて原因の特定が困難になると、保険金を受け取れなくなる恐れがあります。
 
保険金を請求する際は、まず保険会社に連絡して事故発生の日時や状況、原因などを説明します。次にリフォーム業者に見積もりを依頼するとともに、保険金の請求に必要な書類を準備しましょう。
 
なお、火災保険の申請サポート業者を利用すると高額な手数料を要求されることがあり、受け取れる保険金額が少なくなって必要なリフォームを行なえなくなる恐れがあるため、注意が必要です。

まとめ

台風や大雨に見舞われると、屋根や外壁の損傷、窓の破損といった被害を受ける恐れがあります。台風による被害を未然に防ぐには建物の状態を事前に確認し、必要に応じて、外壁や屋根のメンテナンス工事や窓にシャッターを設置するなどのリフォームを行なうことが重要です。
 
また、台風で実際に被害を受けた場合は火災保険の適用対象となることがあるため、契約内容を確認したうえで申請するとよいでしょう。
 
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