Vol.117

更新日:2024.02.09

太陽光パネルの耐用年数と寿命の関係は?
長持ちのポイントや業者選びも紹介

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太陽光パネルの「耐用年数」と「寿命」

太陽光パネルの設置を検討する際、どれくらい長持ちするのかは気になるものです。ここでは、太陽光パネルの「耐用年数」と「寿命」の違いを紹介します。

「耐用年数」の2つの意味

「耐用年数」という言葉には、2つの意味があります。

・法定耐用年数:税務計算上使用するもので、国税庁が定めた年数
・耐用年数:メーカーが算出した、製品の推定寿命

一般家庭に太陽光パネルを導入する際、法定耐用年数はほぼ関連がないため詳細に理解していなくても支障はありません。

●法定耐用年数
「法定耐用年数」は、資産にかかる税計算のために国税庁が定めたもので、一部の例外を除いて17年と決まっています。

法定耐用年数を気にする必要があるのは、おもに事業者として太陽光パネルを導入している方です。法人の場合、太陽光パネルを経費として計上する際に、法定耐用年数にしたがって減価償却と呼ばれる会計処理をする必要があります。

一方で一般家庭では、太陽光パネルを屋根材として設置する場合や、10kW以上の売電がある場合などに減価償却が必要になるものの、該当するケースはほとんどありません。

なお、法定耐用年数は税計算のために設定された数字になるので、設置から17年経過した太陽光パネルは使用できない、買い替えなければならないという意味ではありません。

●耐用年数
「耐用年数」は、さまざまな検証データなどからメーカーが推定する製品寿命の目安を意味します。一般的にメーカーによる太陽光パネルの出力保証期間は25年とされていますが、実質の耐用年数はおよそ20~30年ほどと考えられるでしょう。

法定耐用年数と同様に、耐用年数を過ぎたからといって製品が使えなくなるわけではありません。

太陽光パネルの寿命

「寿命」とは、製品が製造されてから、実際に使用できなくなって廃棄されるまでの期間を指します。一般家庭で太陽光パネルの設置を考えている場合に、耐用年数よりも寿命が重要です。

太陽光パネルの寿命は耐用年数よりも長いことも珍しくなく、設置から30年以上稼働し続けている太陽光パネルも存在します。

可動部分がほとんどなく、故障しにくいことが太陽光パネルの寿命が長い要因だと考えられており、適切なメンテナンスを行なえば長く使用することも可能です。

太陽光パネルと周辺機器の寿命の違い

太陽光パネルにはいくつかの周辺機器があり、太陽光パネルとは寿命が異なります。ここでは、太陽光パネルの設置を検討している方であれば知っておきたい、パワーコンディショナーと蓄電池の寿命を説明します。

パワーコンディショナーの寿命

パワーコンディショナーとは、太陽光パネルで発電した直流電力を、家庭で使用する交流電力に変換するための精密電子機器です。

パワーコンディショナーの平均的な寿命は10~15年で、太陽光パネルの寿命と比較すると短く感じるかもしれません。しかし、以下に挙げる主要家電の平均使用年数と同じくらい、もしくは少し長く使用できることがわかります。

主要家電の平均使用年数
●電気掃除機:7.1年
●電気洗濯機:10.1年
●カラーテレビ:10.7年
●電気冷蔵庫:13.0年
●ルームエアコン:13.6年
参考:消費動向調査(令和5年3月実施調査結果)|内閣府

また、次の点に気を配ることで、パワーコンディショナーの寿命をより長く保つことにつながります。

●温度上昇や湿度に注意し、設置場所を工夫する
●劣化や故障に早く気付くため、定期的に点検する
●設置後10年を目途に、必要に応じて早めに部品交換する

蓄電池の寿命

蓄電池とは、太陽光パネルで発電した電気を貯めておく装置です。太陽光パネルと同時に必ずしも設置しなければならないものではありませんが、蓄えた電気が災害時に役立つことなどから、蓄電池の需要は高まっています。

家庭用として最もよく用いられている蓄電池はリチウムイオンバッテリーで、平均的な寿命は10~15年ほど。パワーコンディショナーと同様に、太陽光パネルよりは短いことがわかります。

蓄電池をより長く使用するためには、次の点を意識しましょう。

●高温や直射日光を避けて設置する
●過放電(空の電池をさらに放電すること)をしない
●過充電(満タンな電池をさらに充電すること)をしない

太陽光パネルの寿命を短くする要因

前述したとおり、太陽光パネルの寿命は耐用年数よりも長く保てることが多い傾向にあります。しかし当然のことながら、何らかの要因によって、平均的な寿命を待たずに使用できなくなる可能性も否定できません。

太陽光パネルの設置を検討する際には、事前にこれらの要因を理解しておくことが重要です。

自然環境

屋外に設置する太陽光パネルは常に雨風にさらされているため、置かれた自然環境が製品の寿命に大きく影響します。例えば、積雪量が多い地域や海辺で塩害を受けやすい地域などは、経年劣化が早まるリスクが高いだけでなく、平均寿命よりも早く寿命を迎える可能性も否定できません。

これらの要因で太陽光パネルが損害を受けた場合、メーカーによっては自然災害補償によって修繕費用を補償してくれるケースがあります。補償の対象範囲はメーカーによってさまざまなため、太陽光パネルを選ぶ際の検討材料の一つになるでしょう。

なお、自然災害補償に加入するのは個人ではなく施工会社のため、契約前の確認が必要です。

また、住宅保険や火災保険のなかには、自然災害による太陽光パネルの修繕費をカバーできるものがあります。すでに加入している保険が活用できる可能性もあるため、内容を確認してみてください。

◇天災による被害

天災による被害が、太陽光パネルの寿命に影響するケースも十分に考えられます。台風による飛来物や落雷、雹(ひょう)などが要因で、突然太陽光パネルが破損するリスクは否定しきれません。

天災が要因の故障でも、メーカーが補償してくれる場合もあれば、対象外となることもあります。自然環境が要因の場合と同様に、太陽光パネルを決定する前に、補償内容を確認しておくことが重要です。

◇性能の劣化

耐用年数よりも長く使用できることの多い太陽光パネルでも、使用期間が長くなるにつれ、性能自体の劣化は避けられません。

太陽光パネルの劣化の具体例として、以下のようなものがあります。

●腐食や断線による配線の劣化
●太陽光パネル表面のひび割れ
●層状になっているパネルの剥離

これらの劣化に気付かないまま放置すると、製品寿命が短くなる原因となるため、早めに対処することが大切です。

太陽光パネルを長持ちさせるためのポイント

太陽光パネルの寿命を長く保つためには、日々の使い方も大切です。ここでは、太陽光パネルを長持ちさせるためのポイントを3つ紹介します。

発電状況を把握する習慣をつける

太陽光パネルの状態を日常的にチェックするのは難しいものの、発電状況はモニターで確認可能です。日々の発電量や変電率などを具体的な数値で把握することで、異常が発生した際に気付きやすくなるので、モニターチェックを習慣付けましょう。

エラーの発生を表示するタイプのモニターであれば、より早く異常に気付けます。エラーが発生した日付を記録し、頻繁に起こるようであれば点検を依頼してください。

大きな問題になる前に早めの対応ができれば、太陽光パネルを長持ちさせることにつながります。

定期的な点検・メンテナンスを受ける

家庭内でのチェックに加え、専門業者による定期点検も必ず受けましょう。一定の周期で点検を受けることで、劣化の進行や故障を未然に防げることもあるはずです。

個人で確認できるのは限られた範囲のため、さまざまな項目をチェックする点検は必要不可欠です。また、たとえ住宅用の太陽光パネルであっても、保守点検を受けることは法律で義務化されています。

点検の頻度は業者によって異なるため、設置を検討する際に確認してみましょう。
目安としては、設置の1年後・5年後・9年後に点検を実施するのが一般的です。

太陽光パネルのメーカー保証を利用する

太陽光パネルの修理が必要な場合には、メーカー保証を積極的に活用してください。メーカーによって差はあるものの、太陽光パネルには最低10年以上のメーカー保証があり、条件によっては無償で修理してくれることも。

保証内容もそれぞれ違うため、設置時に施工業者とも相談して選択するとよいでしょう。また、故障の原因によっては、施工業者が加入する自然災害補償の対象となるケースもあります。判断が難しい場合でも、まずは相談してみてください。

太陽光パネルの設置を依頼する施工業者の選び方

太陽光パネルを長く利用するためには、製品そのものの品質やメーカー保証に加えて、施工業者選びも重要です。

理想的なのは、建物を施工した業者に太陽光パネルの設置も依頼すること。屋根に穴を開ける作業が発生するため、建物の施工業者以外が工事すると、建物の雨漏り・水漏れの保証が切れてしまう可能性があるためです。

また、建物の施工業者以外に太陽光パネルの設置を依頼する場合は、事前に建物の施工業者へ確認をとる必要があるので注意してください。

ここでは、太陽光パネルの設置を依頼する施工業者の選び方を紹介します。

太陽光パネル以外にも詳しいか

太陽光パネルの設置場所となる屋根は、材質や形状、工法などによってさまざまな種類があります。

施工の際には、屋根の特徴ごとに適した向きに太陽光パネルを設置する必要があるため、屋根の特徴を理解している業者に依頼することが重要です。可能であれば、屋根を含めた住宅全体の施工に詳しい業者を選ぶとよいでしょう。

太陽光パネルを設置する建物を建築した業者に依頼するのが難しい場合には、住宅のリフォームを幅広く扱う業者に相談するのもおすすめです。

個別の状況に合わせた提案があるか

住宅の環境や予算など、太陽光パネル設置時の状況は家庭ごとに異なります。個別の希望を聞いたうえで、状況に応じた最適な提案をしてくれる業者を選んでください。

依頼主の希望を無視して、業者側に都合の良いプランを提案してくる場合には注意しましょう。太陽光パネルは設置して終わりではなく、その後も長く使用していくものです。後悔しないためにも、納得できるプランを提案する業者が見つかるまで、焦らずに根気よく探すことも大切です。

長期的に付き合えるかどうか

太陽光パネルの寿命は長く、設置業者とは施工後も長い付き合いになります。信頼でき、長期的に付き合っていきたいと思える業者を選びましょう。

反対に、契約前に疑問点を質問しても説明がわかりにくい、安さばかりを売りにして詳しい説明がないなど、信頼できないと思った業者には依頼しないようにしてください。

太陽光パネルの設置は「住宅のプロ」ポラスにお任せください

太陽光パネルの実際の寿命は、法定耐用年数やメーカーが推定する耐用年数よりも長いことが一般的で、30年以上稼働できるケースもあります。しかし、さまざまな要因による劣化や故障のリスクはあるため、定期点検は必ず受けるようにしましょう。

また、太陽光パネルを設置する際には、製品そのものの性能やメーカー保証の内容だけでなく、施工業者選びも重要です。屋根を含む住宅全体に詳しいこと、長期的に付き合いたいと思える信頼感があるかなどを考慮して選んでください。

ポラスは、太陽光パネルの設置工事にも対応する施工会社です。特徴は、施工前に構造計算を実施し、太陽光パネル設置後の耐震性や構造に問題ないことを確認したうえで工事を開始すること。また、メーカーの施工基準に加えて独自の基準を設けることで、より安全性の高い施工を提供しています。

リフォーム全般を請け負う「住宅のプロ」であるポラスだからこそ、太陽光パネルを設置する屋根だけでなく、住宅全体のサポートが可能です。特に、ポラスが施工した物件に太陽光パネルを設置する場合には、建物の保証を継続できますので、お気軽にご相談ください。

以下のページでは、ポラスが行なう太陽光パネル設置工事について紹介しています。工事費用の具体的な金額や設置後の太陽光光熱費シミュレーションも併せて掲載していますので、ぜひ参考にしてください。