日常に笑いや癒やし、世話を焼く楽しみをもたらしてくれるペット。今回は人気のある犬と猫に対応したリフォームについて考えていきます。

　一般社団法人ペットフード協会の調査によると、ここ数年、日本の犬の飼育頭数は徐々に減る傾向にあり、空前のブームとなっている猫についても、飼育頭数は横ばいとなっています。ただ、ひと昔前と大きく違うのは、ペットを家の中で飼うケースが増えていること。最近は住宅地でも徘徊する猫は減り、「外犬」はあまり見かけなくなりました。猫の場合、一切外に出さない「家猫」としての飼い方も一般的になってきています。同時に、ペットは単なる楽しみというよりも、より思い入れの強い家族としての存在になっています。

　そうなると、家の中でペットが快適に過ごせるように、また、飼い主がストレスなく世話をできるように工夫したいと考える人も増えています。最初からペットとの暮らしを前提にしたリフォームの事例も、よく目にするようになりました。

　そこで、リフォーム事例でよくあるアイデアをご紹介します。意外と場所をとって人の生活スペースを侵食しがちなケージは、間取りの中で動線などを考え、じゃまにならない場所に組み込んでおくことで暮らしやすくなります。トイレは、例えば造作の洗面台の下部に置ければ手入れがしやすく、人用のトイレの一部に設置場所をつくれば、常に換気が行えてニオイ対策にもなります。ペット用の餌皿やトイレトレー、雑巾などを洗うため、専用の流しを設けた事例も見かけます。

　猫の場合は爪研ぎで家が傷むことを防止する工夫もあるといいでしょう。壁の仕上げに破れにくく防汚機能のあるクロスや、漆喰などの固い素材を選ぶことで対応ができます。犬は猫よりニオイが気になることがあるので、消臭機能のある壁材を利用するのもいいでしょう。割りきって安価なクロスを貼り、数年ごとに張り替えるのもひとつの方法です。

　大型犬の場合は、足洗いやシャンプーもひと仕事。腰を痛める原因にもなり兼ねないので、かがまずに洗える高さの洗い場があれば理想的です。また、散歩から戻って気軽に足が洗えるように、外に洗い場を設ける場合は、お湯シャワーが使えるようにしておくと冬も快適です。勝手にキッチンや寝室に入れないようにゲートを設置する場合は、既成品を取り付けるよりもインテリアになじむデザインで造作すると、見た目がよくなります。集合住宅の場合、鳴き声や足音などが階下や近隣の迷惑にならないよう、防音機能のある床材の選定や内窓の設置などで防音性を強化すると安心。餌やトイレシートなど、かさばるペット用品や、リードや服などのグッズの収納場所を予め計画しておけば、室内をすっきり保てます。

　長い時間を家の中で過ごすペット。人にとっての暮らしやすさ、世話のしやすさの他に、ペットたちの生活環境への配慮を、リフォームで加える人が増えています。問題行動の元になるストレスを減らしてやることは、飼い主にとっても大きなメリットになりますよね。

　ドアを閉めていても猫が自由に部屋から部屋へ動き回れるよう、猫専用の通り抜け用穴を設置したり、高いところが好きな習性に沿って、壁にキャットステップやキャットウォークを設置するなどは、一般的なアイデア。天井板を外し梁を見せるデザインにして、ステップで登れるようにしてあげれば、猫のお気に入りの居場所になります。

　足腰を傷めやすい犬のためには、滑りにくい床材や柔らかい床材を選ぶ気遣いもほしいもの。また、犬は穴ぐらのような狭い場所にいると落ち着くので、階段下のデッドスペースを利用して居場所をつくるといったアイデアもあります。運動量の多い活発な犬には、中庭やテラスのような遊べる場所をつくってやれば、雨などで散歩に行けないときのストレス解消になるでしょう。

　ペットと快適に暮らせる理想の家をリフォームでつくる早道として、まずは信頼できるリフォーム会社に相談してみるといいでしょう。その際は、現状で感じている家の問題点をピックアップしておくと、対策を具体的に提案してもらえて話がスムーズに進みます。また、盛り込みたいアイデアがある場合は予め伝えておきましょう。リフォームで世話の負担や問題行動が減れば、ペットも人も毎日がもっと快適に気分よく過ごせるようになります。ポラスのリフォームでも、ペットと暮らすリフォームに実績がありますので、参考にしてください。

（コラム執筆）住宅＆インテリアマガジン『LiVES』ライター　松川絵里