Vol.35

更新日:2017.03.28

「リフォームor建て替え」に迷ったら
チェックすべき4か条

その他

住まいへの不満、どう解決する?

 築年数を経た住まいは、各所の傷みが気になったり間取りが生活スタイルに合わなくなったりするもの。暮らしにくさからリフォームか建て替えを検討する人もいることでしょう。しかし、「リフォームで家の思い出を残したいけれど古家で心配」「建て替えたいけれど今の家もまだ使えそう?」など、どちらを選ぶべきかの判断は難しいですよね。そんなとき手助けになるのが今回紹介する4か条です。それぞれについてご自身で、そしてご家族と一緒に確認してみてください。きっと理想の住まいを実現するはじめの一歩につながるはずです。

その1:まずは、わが家の現状を知ることから

 はじめに確認したいのが、「わが家の現状」です。まずは、築年数で分かるおおよその現状をチェックしましょう。築30年以上経過した一般的な木造住宅の多くは、「断熱材が入っていないか不十分」です。居室と廊下に大きな温度差が生じるヒートショックの原因につながり、高齢になればなるほど健康に重大な影響を及ぼすため対策が求められます。

 築35年以上であれば「旧耐震基準(1981年以前)で建てられている」ことがほとんど。フルリフォームを希望する場合は壁に補強材の筋交いを入れ、土台をチェックして柱と固定するなど相応の耐震補強を行います。

 そのほか、屋根や外壁の修繕、防蟻処理、床下の湿気対策などの「メンテナンス状況」をチェック。修繕履歴や工事契約書などがあれば正確なメンテナンス時期がわかります。定期的に修繕がなされていれば住まいの状態は良好である可能性が高いでしょう。

 リフォームに気持ちが傾いている場合には、住まいの現状を正確に知る必要があるため「専門家による住宅診断」をおすすめします。リフォーム会社や住宅会社、住宅診断を専門に行うホームインスペクション会社などに依頼できます。自治体によっては耐震の簡易診断サービスや、診断費用の補助制度などがあるのでぜひ確認を。

 建て替えを想定しているなら、住んでいる場所の「用途地域や条例の変更の有無」を自治体の役所などで確認しましょう。建ぺい率や容積率などが建築当初と異なると、建て替えでは今より小さい家になるケースも。敷地に接する道路の幅が4m未満であれば敷地のセットバックが必要になるなど、建て替えには不利な条件が揃っている場合があるので要注意です。

その2:ライフプランと理想の暮らしを考える

 住まいの現状確認と同じように大切なのが、「住む人の思い」と「ライフプラン」です。たとえば、定年まであと10年余りとなったアラウンド50世代のセカンドライフは、これからが本番。日本の平均寿命は男女ともに80歳を超える時代、少なくとも「30年先まで見越したライフプラン」を立てたいところです。

 まず、どんな暮らしを望んでいるのかを自分に問いかけてみましょう。そして、このまま現在の土地に住み続けるなら、あと何年どのような状態で過ごすのかを家族で話し合うことが重要。親の介護や、将来的に子どもと同居する可能性があるかどうかも、今後の住まいを考えるうえで大事な要素になります。

 判断の目安として、住宅のメンテナンス期間に相当する「10年単位で考える」方法もあります。今後10年間、今の場所に住めれば十分とするなら、家の状態を確認したうえで、必要最小限の修繕を行う小規模リフォームを選択してもよいでしょう。20年間住み続けるなら、外装と設備の修繕、耐震補強も含めたフルリフォームが安心です。さらに、30年以上住むことを目指す場合や、資産価値の形成として住まいを子世代に引き継ぐ考えなら、メンテナンス性や省エネ性能の大幅な向上が実現できる建て替えのほうが合理的です。

その3:コストを含めたメリット・デメリットの確認

 コストに関しては、使える箇所を残す「リフォームのほうが低い傾向」があります。建て替えに比べて工期が短いため、フルリフォームの場合でも仮住まいの期間が短くて済み、工事費用以外の経費も抑えられます。

 建て替えでは工事費用とは別に既存の解体費用がかかります。仮住まいの期間も長くなるのでその分の経費も必要です。また、リフォームでも建て替えでも、仮住まいが必要な場合には「2回の引越し費用」が発生することも忘れずに。

 その他、リフォームは既存住宅を再利用するという点で廃棄物が少なくエコであるという特徴が。そして何より、「愛着のあるわが家に住み続けられる」メリットがあります。部分的なリフォームなら住みながらの工事も可能。反面、構造や予算の関係から間取りの変更に制約が生じることは珍しくありません。

 建て替えは希望の間取りやデザインを実現しやすく、住宅設備もすべて新しくなります。地震などの自然災害に対する安心感も大きいでしょう。部分的なリフォームに比べると資産価値が高くなる分、子世代が住み継いだり賃貸に出しやすかったりというメリットがあります。

 デメリットは、既存の解体費用を含めた全体の建築コストが高いこと。近年はローコスト住宅の供給会社が増えていることから、一概に建て替えが高いとは言い切れませんが、建築コストと品質はある程度リンクすることを念頭に判断したいものです。また、建て替えでは工期と共に仮住まいの期間も長くなるので、シニア世代は経済面だけでなく健康面でも無理のない計画を心がけましょう。
 
 補助金については、新築なら「住まい給付金」などがよく知られていますが、リフォームでも最大30万円の「エコリフォーム補助金」が受けられます。いずれの場合も補助金などの支援制度は賢く活用したいですね。

その4:心も満足させる費用対効果を求めよう

 せっかく手間とコストをかけてリフォームや建て替えをしても、自分たちのニーズと解決方法がマッチしていないと、「古い家の思い出を大事にしたかったのに安易に建て替えを選んで後悔している」「新しい住まいに馴染めない」といった不満が残ってしまいます。

 とくに、シニア世代は生活動線や環境の変化に対応するまでの時間が想像以上にかかる場合が多く、心理面への影響も少なくありません。そのため住まいのすべてを刷新するよりも、これまでの不具合を解消しつつ住み慣れた環境は維持したいと考える向きがあるようです。建て替えでも以前の間取りに似せてつくったり、積極的にリフォームを選択したりするケースが見られます。

 そこで、ここからはポラスの事例をもとにシニア世代にも選ばれるリフォームプランを紹介します。『再新の家』は家をまるごとフルリフォームできるパッケージプランが特徴。坪単価18万円からの定価制なので、家の広さがわかればおおよその費用がわかります。プラン内容は住宅診断から内外装と設備のリフレッシュ、耐震補強、防蟻処理までカバー。別途で間取りの変更や増築にも対応し、要望に応じて二世帯リフォームも実現できます。

 そのほか、断熱リフォームや外装リフォームなど、テーマ別のリフォームプランでも建材のグレードに応じたパッケージプランを用意。工事内容と費用が明確なので追加費用の心配がありません。

 既存住宅の状態確認をはじめ、これからの家族の暮らしを改めて考えてみる。その結果見えてきた希望に沿うプランや、住む人の思いに耳を傾けてベストな提案をしてくれる依頼先を見つけられれば、自ずとリフォームか建て替えかの答えは出るはずです。

(コラム執筆)住宅&インテリアマガジン『LiVES』ライター 畑野暁子