Vol.13
更新日:2015.02.05
住み心地も省エネ性能も高める“減築”という選択
こだわり・暮らし
- リフォーム
- 間取り
今の暮らしと住まいの現状にズレを感じたら

「子どもが独立して空き部屋だらけ」「家の手入れが負担になってきた」など、ライフスタイルの変化とともに家への要求も変わるもの。暮らしのニーズと家の現状との間にズレを感じたら、リフォームのタイミングかもしれません。
子供の独立後は夫婦でマンションに住み替えるという選択もありますが、リフォームなら愛着のある家と場所に住み続けることができます。そこで今回は、最近聞かれる“減築”リフォームに注目。空間や機能を増やす足し算のリフォームではなく、暮らしに合わせて家をスリム化していくメリットを考えます。
子供の独立後は夫婦でマンションに住み替えるという選択もありますが、リフォームなら愛着のある家と場所に住み続けることができます。そこで今回は、最近聞かれる“減築”リフォームに注目。空間や機能を増やす足し算のリフォームではなく、暮らしに合わせて家をスリム化していくメリットを考えます。
減築のメリットって何?

減築とは、単純にいうと増築の反対。空間や間取りの無駄を見直し、スリム化していく改修です。たとえば、子供が独立した夫婦二人暮らしの場合、使わなくなった2階部分を撤去し、バリアフリー仕様の平屋にするリフォームも減築案のひとつ。大きな工事となるので相応のコストはかかりますが、建物本体がコンパクトになることでメンテナンスがラクになるメリットがあります。当然、冷暖房費もダウン。内窓の設置や屋根の断熱性能を高めるなど、省エネにも配慮したリフォームを行えば、光熱費を大幅に削減できます。また、家全体に目が行き届くことで、防犯面での安心感も得られるでしょう。
もちろん、減築リフォームでも一定の要件を満たせば住宅ローンやリフォームローン減税、省エネリフォーム減税などの優遇措置を受けられます。
もちろん、減築リフォームでも一定の要件を満たせば住宅ローンやリフォームローン減税、省エネリフォーム減税などの優遇措置を受けられます。
間取り変更も減築手法のひとつです

建物規模を小さくする減築だけではなく、間取りの変更で減築を叶える方法もあります。個室が多い間取りの場合、リビング・ダイニングが狭かったり、家族構成の変化によって空き部屋が生じたり、何かと不満が出てくるもの。その解決策として考えられるのが、個室の数を減らす減築です。
個室間の間仕切り壁を撤去して広いLDKを確保したり、使わなくなった部屋を集中型の収納スペースに用途変更したり。採光や通風を得るために、個室を中庭や坪庭に仕立てなおすアイデアもあります。減築的な間取り変更は、家の規模を保ったまま空間の使い勝手を高めるので、実家を住み継ぐ子育て世帯にも有効なリフォーム手法だといえます。
個室間の間仕切り壁を撤去して広いLDKを確保したり、使わなくなった部屋を集中型の収納スペースに用途変更したり。採光や通風を得るために、個室を中庭や坪庭に仕立てなおすアイデアもあります。減築的な間取り変更は、家の規模を保ったまま空間の使い勝手を高めるので、実家を住み継ぐ子育て世帯にも有効なリフォーム手法だといえます。
2WAYのプランニングを心がけよう

空間や間取りをスリム化する減築では、さまざまなシチュエーションに対応できる、可変性のあるプランニングが必須です。
子や孫が遊びに来たときに家族皆で集えるLDKは、夫婦だけの日常生活には広すぎます。冷暖房効率の低下を防ぐためにも、空間を区切れる引き込み型のパーティションがあると便利。また、リビングの続き間として畳コーナーを設け、子世帯家族が泊まりにきたときの客間として活用するプランも有効です。
使用頻度の少ない部屋を極力なくす減築的な間取り変更と、空間に何通りかの使い方を与えるプランニングの工夫で、住まいの使い勝手がぐっと良くなるはずです。
子や孫が遊びに来たときに家族皆で集えるLDKは、夫婦だけの日常生活には広すぎます。冷暖房効率の低下を防ぐためにも、空間を区切れる引き込み型のパーティションがあると便利。また、リビングの続き間として畳コーナーを設け、子世帯家族が泊まりにきたときの客間として活用するプランも有効です。
使用頻度の少ない部屋を極力なくす減築的な間取り変更と、空間に何通りかの使い方を与えるプランニングの工夫で、住まいの使い勝手がぐっと良くなるはずです。
“減築”で叶えるちょうどいい暮らし
家に手を加えるときは、冷暖房設備や収納を増設するなど、足りない機能を盛り込む足し算の志向に陥りがちです。けれど、もともと多人数向きで、今では無駄の多くなってしまった住まいに足し算をしても、家全体を有効に活用することはできないでしょう。逆に、住まいの無駄を見直す減築なら、過剰な設備投資をしなくても省エネライフを実現でき、家の快適性能をアップできるのです。
家を小さくする、あるいは部屋数を少なくするというと、「なぜ、わざわざ?」と後ろ向きの印象を抱く人もいるかもしれません。しかし、減築は今の暮らしにあった住まいを得るための前向きな手段。デッドスペースをなくして子育てや家族の団らんを楽しめるLDKを得たり、家の中の生活動線を短くすることで家事の負担を軽減できたり。既存住宅の有効活用が求められる昨今、減築はプラスの効果が大きいリフォームとして今後も注目を集めそうです。
(コラム執筆)住宅&インテリアマガジン『LiVES』ライター 畑野暁子
家を小さくする、あるいは部屋数を少なくするというと、「なぜ、わざわざ?」と後ろ向きの印象を抱く人もいるかもしれません。しかし、減築は今の暮らしにあった住まいを得るための前向きな手段。デッドスペースをなくして子育てや家族の団らんを楽しめるLDKを得たり、家の中の生活動線を短くすることで家事の負担を軽減できたり。既存住宅の有効活用が求められる昨今、減築はプラスの効果が大きいリフォームとして今後も注目を集めそうです。
(コラム執筆)住宅&インテリアマガジン『LiVES』ライター 畑野暁子